鬱陶しい気分が続いた数年前、「うつ病」じゃないかと自分を疑い、いろいろ調べてみると、「オキシトシン」が注目されているという記事に偶然出くわした。
「オキシトシン」は、出産時に陣痛促進剤として使用されている女性ホルモンだ。
ネットでさらに調べると、多くの海外の医学者が「オキシトシン」を研究対象にしていて、その効果はセロトニン分泌におおいに関わり、人間関係に大切な役割をしている「愛情ホルモン」と呼ばれているらしい。
しかも「オキシトシン」は、女性はもちろん、男性にも、ほとんどの哺乳類に備わっている生物に必要なホルモンなんだと初めて知った。
いろいろあるオキシトシン関連の本の中から『人は愛することで健康になれる』を読んでみた。
オキシトシン研究では第一人者のウィスコンシン医科大教授高橋徳がアメリカで発表した本の日本語版である。
現在、先生は日本に帰国され、名古屋で代替医療専門病院を開業されているという。
内容は、いささか論文調ではあるが、哺乳類の「種の保存」本能の要とも言える重要なホルモンの役割をさまざまな角度から検証しているので、医療従事者はもとより、人間関係で問題を抱えている人にもおすすめの一冊である。
ラットの実験で注目すべきは、人為的に日中過酷な刺激を与えられたラットAが巣に戻ると、巣でのんびり暮らしていたラットBが疲れ果てているAの毛づくろいしてやるそうだ。
そのとき毛づくろいされているラットAのオキシトシン値は上昇し、快楽を感じているのだが、毛づくろいしているBもまたオキシトシン値が上昇するというのだ。
つまり、生物は援助行動を発揮するためのシステムが備わっているということらしい。
本書をじっくり検証すれば、「オキシトシン効果」がさまざまな分野で応用できることに気づくだろう。
人は愛することで健康になれる (愛のホルモン・オキシトシン)
出版社 : 知道出版
コメント