地下鉄の駅でぼんやり電車を待っていると「神保町」のプレートがなんだか神々しく見えてきた。
なにかしら「神々のあられる街」なのかもしれない。
友人が訪ねてきた。
神保町駅に降り立った時に聞こえたアナウンスがよくないという。
「びんぼうちょうー、びんぼうちょうー」と聞こえるというのだ。
それは「お前の心の声」だと言ってやった。
さて、地下鉄の駅名は「平成明朝」というわりと新しい書体で書かれている。
この書体はマックでは標準書体となっているので、ご存じの方も多いだろう。
タイポグラファーはいろいろな書体を使い分けて、それを見る人の心をつかむ努力をしている人たちである。
ポスターや広告、チラシ、本や雑誌、ネットの中でも活躍している。
そのおおもとになるのが、日本の「書」である。
日本古来(漢字は中国から来たのだけど)の書道の文字は、古来から書の達人たちがその美しさを競い合って書いてきて、現在、そのスタンダードな形をさまざまな書体にデザインされているといえる。
では、そのスタンダードな「書」とは、書道家先生の字ということなのだそうだが、そこでおすすめしたいのが今は亡き川邊祥風の書である。
楷書、行書、草書と五字句・五十題材をそろえて書き比べてあり、一字一字その運筆の指導まで丁寧に説明している。
なぜ、数ある書道書の中で、川邊祥風をおすすめするのかというと、とにかく見てもらえばわかる。ひたすら美しいからだ。
これぞ日本の漢字とひらがなの原点、文句なく美しい。
書道をたしなまなくても、ただ見ているだけで字がうまくなること請け合いである。
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