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AIの未来について考える:【第1回】AIと本の未来

*社長ブログかの如く偉そうなことを書きますが、筆者は新入社員です。

 

本の未来はこれからどうなるのでしょうか

出版市場が衰退しているのは今に始まった事ではありませんが、出版関係者にはそれ以外の懸念があります。

それは何を隠そう、生成AIの台頭です

まだ急に仕事がなくなったという話は聞きません。出版業界は良くも悪くも古い体質のため、人と人の直接の信頼関係を基盤にし、仕事を進めていきます。

しかしいずれ共存しなければならない存在。このAIくんとどう付き合っていくのか、というのはおそらく全ての業界の方が考えていることでしょう。

ここで他の人があまりしていないであろう(奇を衒った)予想を書いておこうと思います。

それは、将来本を読むのはロボットかもしれないということです。

すでに現在、ライターのアルバイトとして、生成AIに学習させる文章を書くという仕事があります。

せっかくAIに学習させるならば、ネットにありふれた平凡な文章ではなく、プロの文章を学ばせたいのは当然のことです。

この流れはさらに進み、近い将来、あなたのパーソナルAIが、あなたの好みの文学や記事を読み、あなたと趣味の話し相手になってくれるという話です。

 

今後はどんどんAIのパーソナライゼーションが進んでいくと予想します。

汎用的なAGIというものを作るよりも、個人個人の使用に最適化された、個人秘書、あるいは相棒としてのAIを作る方が簡単です。

仮にAGIが実現するとしても、それはパーソナルAIが普及し、さらに莫大なデータを学習したあとではないでしょうか。

 

一人一台、いや何台もパーソナルAIを持つ時代。

もちろん、すでにiPhone 16には生成A I「Apple Intelligence」が搭載されており、現実になっています。

この流れは今後ますます進み、日常の冷蔵庫から電子レンジまで、ありとあらゆる電化製品にAIは搭載されていくでしょう。

冷蔵庫の食材の賞味期限もAIが管理し、教えてくれます。今ある食材の組み合わせから作れる料理のレシピや、足りない食材を教えてくれるかもしれません。電子レンジには冷凍食品を放り込むだけで、加熱時間を読み取り、適切な温度に温めてくれます。

インターネットを使わない生活が考えられないのと同様に、もはやAIと関わらない生活は不可能に近くなっていくでしょう。

そして、あなたのパーソナルAIは、あなたの読んでいる本や、あなたが読みそうな本をも読むようになると予想します。

 

AIサービスClaudeを展開しているAnthropicは「Computer use」という機能のβ版をリリースしました。

これは指示に従ってパソコンのマウスや画面操作をしてくれるというものです。

この機能がスマートフォンに搭載されれば、あなたがスマホで見ているほぼ全ての情報をAIは学習し、操作できることになります。

そこで考えてみるのは、AIは、今あなたが読んでいるこの文章や、あなたのKindleに入っている書籍の文章を勝手に学習し、(もしあなたがこの文章を気に入ってくれたならばの話ですが)あなたのお気に入りの文章のスタイルや、話題を把握し、そんなあなたにパーソナライズされた、あなたの趣味趣向を完全に把握した相棒になってくれるということです。

画面を操作できるのですから、アプリやブラウザを超えて、他のアプリの画面も学習できてしまいます。もちろん著作権などの問題がどう対処されていくのかは最重要のトピックになりますが、それらの値段もサブスクやスマートフォンの本体価格に組み込まれていくのかもしれません。

 

では紙の本はどうでしょうか。

話は少しそれますが、私は紙の本はそう簡単に廃れるとは思っていません。

確かに紙の本を作って売るという行為は、大量の森林を伐採しなければならず、持続可能性の観点からは難点が多いのは事実です。

紙の本の流通量自体はこれからも減るでしょうが、人々はそこにアンティークとしての価値を見出し続けると思っています。

最後は現在のレコードのような立場になるでしょう。現在もすでにインテリアとして飾られる運命になりつつあります。

しかし、しばらくはこれからも紙の本が台頭するとして、さらに予想を進めてみましょう。

 

現在、生成AIはついにボディーを持つようになりました。

最も記憶に新しいのはTesla社のTesla Bot(Optimus)です。

 

しかし私が最も衝撃を受けたのは、CHAT GPT搭載のヒューマノイドロボット、figure1でした。

 

視覚の情報を処理し、リンゴを取ってなどの指示に従うことができます。

このデモンストレーションでは、ゴミを片付けながら、今自分がしたことを説明して、という指示に従っています。

 

さて話は本に戻りますが、私は、このヒューマノイドロボットが、紙の本を読むのではないか、というSF的な予想(妄想)をしています。

例えば、あなたがすでに持っている紙の本をロボットも読み、あなたの思想や哲学までも理解し、あなたの話し相手になってくれる。

現在のAIはまあ確かに深い話ができないわけでもないが、せいぜいお勉強が得意な優等生といったところでしょう。

インターネット上にある情報をとってきて説明することはできますが、哲学書を読んで要約し、議論するといったレベルではありません。

でもあなたが相棒に求める要素はそんなものでしょうか。

例え少し考えが偏っていたとしても、しっかりとした思想や世界観を持ち腹を割って話せるのが相棒というところです。

多くのAI研究者は、生成AIはあと1、2年で博士課程レベルの知性になると予想しています。カントの純粋理性批判を呼んで、感想を教えてくれる日はそう遠くないでしょう。

友達の少ない私なんかは、こんな相棒は喉から手が出るほど欲しものです。

 

または、子供に本を読み聞かせする子守ロボットも考えられるでしょう。

これはSFにありがちで想像に容易いことだと思います。

しかし、読み聞かせするだけでなく、その物語の内容を理解し、子供のごっこ遊びに付き合ってあげることもできるはずです。

本を読んできかせるのは、ただ機械的な音声で文字を読み上げるのと子供にとってまったく違います。子供と絵と文字を一緒に見つめ(共同注意)、文字を発音するなどは、ボディーを持った存在にしかできません。

 

さらに、古いレシピ本を読んで料理を作ってくれるなども考えられますね。

こんなことが、夢物語でなく本当に実現する可能性は高いです。

あとは、大量生産されて値段が安くなるのを待つだけです。

 

少なくともこのように考えれば、ロボットが本を読むという話は、少し現実的に思えるのではないでしょうか

そして少なくとも人間が物語や、言葉を必要としている限りは、書籍は誰か(何か)に必要とされ続けるのだと、信じています。

 

もう一つの本の可能性である、“メタバース内で読める本”の話は、またの機会に。

 

 

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